脱毛は肌へのダメージを考える
「抜く」は皮膚の一部をちぎること
脱毛はどうしても肌に負担をかけてしまいますので、負担をかけないように行いましょう。
抜くのも剃るのも、どちらも肌を痛めてしまいますが、とくにカミソリなどで「剃る」よりも、毛抜きなどで「抜く」ほうが、肌へのダメージは大きい傾向です。というのも、毛を抜いたときに痛いのは、毛根にある皮膚の一部をちぎっているからです。
肌ダメージを最小限に抑える無理のない方法を選ぶ
毛は、毛根にある毛母細胞の分裂によって成長します。毛母細胞は、まわりにある血管から酸素や栄養をもらって細胞分裂をくり返します。つまり、毛根自体は生きているのです。毛を抜きますと、この生きた組織を引き裂くことになりますので、当然痛みをともないます。
目には見えませんが、毛穴の奥で多少の出血もしています。これをくり返していますと、毛穴に菌が入り炎症を起こして膿んだり、その炎症の跡がシミになったり、または色素沈着して黒ずんだり、ブツブツとした鶏の皮のような肌感になったり、毛が皮膚の中に埋まったままになったりしてしまいます。
各除毛方法の長所、短所を理解したうえで、無理のない方法を選んでください。また除毛のルールを守って行えば、肌ダメージを最小限に抑えることができます。
脱毛の方法
剃る
- 電気カミソリ
- 安全カミソリ
電気カミソリ
穴の中に毛を引き込みながらカットしていきますので、深剃りができます。ただし、そのぶん皮膚まで一緒に切ってしまうことも。その傷口からかゆみが出たり、シミになったりすることもあります。
安全カミソリ
T字型の安全カミソリは、自分で細かい手加減がしやすいのが特徴。毛穴が鳥肌のようにボツボツと立っている人は、深剃りの電気カミソリだと肌を傷つけやすいため、こちらのほうが向いています。ただし、剃ったあとに肌が乾燥して、かゆくなることもあります。
抜く
- 毛抜き
- テープ
- ワックス
- 家庭用脱毛機
毛抜き
毛抜きを使って1本ずつ毛を抜く方法。手間がかかるうえに、トラブルが起きやすいです。脇をずっと毛抜きで抜いていますと、皮膚が硬くなり、つれたようになることもあります。また、皮膚の下に埋もれた埋没毛ができ、そこから毛包炎を起こすことも。
テープ
除毛したい部分に粘着力のある専用のテープを貼って、はがし取る方法。一度にたくさん抜ける手軽さはありますが、そのぶんダメージも大きいです。また、ワックスと違って、角質も一緒にはがしてしまうことも多いため、肌の弱い人は極力控えましょう。
ワックス
温めたワックス(ミツロウやパラフィンなどの固形油)を皮膚に塗り、固まったらはがします。皮膚が温められるため、毛抜きやテープなどより若干負担は少ないです。またパラフィンパックと同じ原理で、除毛後に肌がしっとりする保湿効果も。
家庭用脱毛機
電気式の脱毛機で皮膚を温めたり、まわりの皮膚を押さえたりしながら抜きますので、毛抜きよりは肌への負担は少ないです。しかし、抜くことに変わりはなくトラブルも多いのも現状です。
永久脱毛できるとPRしている家庭用脱毛機がありますが、抜いている限りまた毛は生えてきます。
レーザー照射で永久脱毛という商品もありますが、レーザーは医療機関でしか扱えませんので、家庭用として販売されることはありません。
脱毛クリーム
脱毛クリームや抑毛クリームは痛みもなく、短時間ですむ手軽さが魅力です。手軽ではあっても、毛を溶かすタイプの脱毛クリームは肌に影響があることも。体調によっても違ってきますので、パッチテストをしてから使用しましょう。
抑毛クリームは、剃る、抜くなど処理したあとに塗り、次に生えてくる毛を少なく、細くしてくれるもの。時間はかかりますが、毛が薄くなるので肌もツルツルになります。肌への負担が少ない、天然成分でできたものも増えています。部分によって使い分けてみるのもいいでしょう。
肌に負担をかけない除毛のために
どれだけ気を使っても肌ダメージが避けられない除毛ですが、以下のルールを守れば確実にダメージを減らせます。電気カミソリ、テープ、ワックス、家庭用脱毛機、毛抜きなど方法はいろいろ。でも、どの方法も手順は同じです。
また、除毛を行うタイミングは体が温まっているお風呂上がりがベストです。風邪気味のときや疲れているときなど、免疫力が下がっているときの脱毛は避けること。
1.脱毛機器の確認
カミソリなどを使う場合は、刃が古くないか確かめます。カミソリも消毒すると、菌が入るのを防げます。
2.皮膚を清潔にしてから行う
まずは除毛する部位の皮膚を清潔にするのが基本。除毛をしますと、どうしても皮膚に傷がついてしまいます。皮膚を清潔にしておきませんと、傷から雑菌が入ってしまうおそれが。石けんでていねいに洗っておきましょう。同時に、手もキレイに洗っておきましょう。
3.皮膚を温める
皮膚も毛も、温度が下がると硬くなって処理しにくくなります。除毛する部位の皮膚を温めておくのも大切です。お風呂上がりに温まっているタイミングか、蒸しタオルをあててから行うとよいでしょう。
4.処理後はクールダウン
処理後は炎症を起こしていることがありますので、除毛した部位に水で冷やしたタオルなどをあてて、冷やして炎症を鎮めましょう。ムリに抜きますと、刺激や雑菌が原因で、肌は炎症を起こし、腫れや黒ずみ、シミ、ブツブツ肌に。清潔に、負担をかけないことが、美肌を保つ上でもとても重要なこと。
5.体調が悪いときは控える
風邪ぎみや寝不足など、体調が悪いときは皮膚の免疫力が落ちています。こうしたときに除毛しますと、トラブルを起こしやすく傷の治りも悪くなります。体調がすぐれないときは控えましょう。
永久脱毛という手も
その部位のムダ毛が永久に生えてこないのが永久脱毛
永久脱毛とは、その名のとおり、その部位のムダ毛が永久に生えてこないようにすること。自己処理で肌トラブルを起こしている人は、永久脱毛を検討するのも一法です。
永久脱毛は、肌を痛めることなく毛穴がふさがることで、キメの細かい赤ちゃんのような肌を手に入れることができます。時間と費用はかかりますが、仕上がりの美しさに加え、こまめにケアする必要がなくなることを考えますと、試す価値大のもの。
価格だけではなく安全性もしっかり考える
永久脱毛は、大きく分けてレーザー式と電気式の2種類あります。永久脱毛は医療機関で受けられますが、熟練していない施術者が行うことによる肌トラブルも発生しています。
またエステで行う光脱毛は安価ですが、厳密にいうとレーザーではないため、やけどのリスクは高くなります。
経験が浅い施術者によるトラブルも多いため、価格だけではなく安全性もしっかり考えて、賢く脱毛を受けましょう。
永久脱毛の方法
レーザー脱毛
レーザー脱毛は、レーザー光で毛と毛母細胞を焼いて脱毛する方法。痛みが少なく、脱毛前に毛をのばさなくてすむのがメリットです。
ただし、レーザーは黒い部分(メラニン)に反応するため、日焼け後の肌や色の黒い人は、やけどを起こしやすいので避けましょう。日焼けしていなくても日本人の肌は多少のメラニンを含みますので、強く反応するとやけどになることも。このような事情から、レーザーは必ずしも永久脱毛になるとはいえないのが現状です。
もちろん肌に合えば良好な結果が得られ、何年にもわたってほとんど毛が生えないという症例もあります。
電気脱毛
電気脱毛は、毛穴に一本1本針を挿入し、毛根を電流で破壊して脱毛する方法。痛みが若干あり時間がかかることや、毛をある程度のばさないとできないのが欠点ですが、完全に永久脱毛でき、また肌質を選ばないのが特長です。
アンダーヘア
処理をする男性も増えてきている
最近は女性のみならず、アンダーヘアのお手入れをする男性の割合も増えてきています。特に、日本や海外のプロスポーツ選手を始めアスリートの間では、すでに浸透しています。
そもそもアンダーヘアはデリケートゾーンを保護するためのものであって、パンツを穿く習慣が身についた現代人にとっては、不必要です。
もともと蒸れやすい部分でもあるため、毛量が多いほど糞尿の残りなどが付着しがちで雑菌が繁殖しやすく、ニオイも強くなります。アンダーヘアは衛生的に保つのが難しくなるという理由から、その処理をする人が増えてきたようです。
アンダーヘアが生えている箇所は刺激に弱いのでカミソリは使わない
また、デリケートゾーンといわれるように、アンダーヘアが生えている部分の皮膚は他と比べて刺激に弱く、カミソリなどによる自己処理だと肌荒れを起こしがちですので、カミソリなどを使わず、専用の機器で処理をするか、専門機関での処理をおすすめします。