甘く考えがちな紫外線は肌に大きな負担となるため基礎だけでも抑えておく

日焼け対策
執筆者

医療・美容業界で10年以上40代男性のアンチエイジングに携わってきた経験を活かし、様々な情報をアウトプットしていきます。

そるとをフォローする

紫外線が肌細胞を傷つける

紫外線が肌細胞を傷つける

シミ、そばかすなどの原因は紫外線を長時間浴びること

紫外線は、太陽光から地球に放たれた電磁波で、年間を通して降り注いでいます。同じ日本でも南に行くほど紫外線量が多くなります。5月から9月頃にかけての紫外線量が特に多くなります。

紫外線が多い季節といえば、夏というイメージがありますが、それ以前から紫外線の影響を強く受けているのです。

紫外線に長時間浴びるとシミ、そばかすなどの色素沈着を助長し、皮膚細胞を傷つけて老化を促す原因になります。

また、皮膚の免疫を抑制したり、肌だけでなく、目にも悪影響を及ぼしたりします。長い間にわたって吸収した紫外線が老人性白内障の原因になるともいわれています。

ただし、紫外線にはこうした悪い点だけでなく、いい点もあります。殺菌効果、ビタミンDを生成する、人間の生体リズムを調整するといったことです。

ニキビは紫外線により悪化ニキビに

ニキビは紫外線によって悪化します。日焼け止めのなかには、ごく一部ですがノンコメドジェニックといった二キビになりにくい処方もありますので、そうしたものを使用すると良いでしょう。

複数の紫外線が存在している

さて、この紫外線ですが、地球上にはUV-AとUV-Bの2種類の紫外線が届いています。本来はUV-Cという紫外線もあるのですが、UV-Cは波長が最も短く、通常はオゾン層に吸収され地上まで届くことはなく、人体に影響することはないと言われています。

つぎに波長が短く危険度が高いのがUV-B。紫外線の量はUV-Aに比べ3%と少ないですけれど、パワーは1000倍以上と、危険度は果てしなく高いのです。肌の浅いところまでしか侵入しませんが、そのぶん肌に強く作用し、炎症・シミ・ソバカスなどの原因になります。

一方のUV-Aは、肌の深い部分にまで侵入し、シワやたるみといった深刻な老化現象の原因になります。

紫外線の種類

紫外線の種類

紫外線は大きくUV-A・UV-B・UV-Cの3つに分けられます。この中で、UV-Cはオゾン層に吸収されるため、地表には届かないので、一般に市販される日焼け止めは、UV-AとUV-Bを考慮して作られています。それでは2つの紫外線の特長を見てみましょう。

UV-A(紫外線A波)

UV-Aは外見的な赤み(サンバーン)や肌の水ぶくれなどは起こしにくいですが、長時間UV-Aを浴びますと、皮膚の老化を促進し、また表皮にある淡色メラニン色素を濃色メラニン色素に変化させて、皮膚を黒化させます。

また、紫外線の中では波長が長いために、UV-Aは肌の奥の真皮にまで達し、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンを変性させます。

その結果、シワやたるみを引き起こします。また、UV-AはUV-Bと異なり、大部分がガラスを透過し、室内でも紫外線の影響を受けます。窓際や車の中でも肌にダメージを与えますので、外出の少ない人も注意が必要です。

他にも、空全体が雲で覆われている場合でもかなりの部分が地表に到達します。もちろん、家の中でも日のあたる場所では紫外線対策が必要とされています。

UV-B(紫外線B波)

UV-Bは、UV-Aよりも皮膚に対する刺激が強く、急激に作用して肌に炎症を起こす紫外線です。真夏の海水浴で肌が赤くなったり、痛くなったりするのは、UV-Bの影響です。長時間浴びすぎると水泡や軽い火傷になることがあり、シミや皮膚がんを引き起こす原因にもなります。

ただ、UV-BはUV-Aに比べますと、波長が短いため、オゾン層のバリアによって阻まれる割合が高く、その割合は全ての紫外線量の10%程度。そのため、日傘や帽子、長袖の衣服、日焼け止めである程度防ぐことができるとされています。また、UV-Bはガラスを通りませんので、屋外で注意しましょう。

紫外線の種類

UV-A

皮膚の老化を促進し、また表皮にある淡色メラニン色素を濃色メラニン色素に変化させて、皮膚を黒化させる。ガラスなどを透過する性質がある。

UV-B

皮膚に急激に作用して肌が赤くなったり、痛くなったりするなど肌に炎症を起こす。長時間浴びすぎると水泡や軽い火傷になる。

冬でも曇りでも水の中でも紫外線は届く

冬の紫外線は危険

冬でも曇りでも水の中でも紫外線は届く

一般的に冬の紫外線は夏に比べて弱いのですが、雪の場合は地表面からの反射があるため、2倍近い暴露量になります。

ちなみに地表面の種類により反射率は大きく異なり、砂浜10~25%、アスファルトで10%、水面で10~20%、草地や土で10%以下です。

地表面の反射率
  • 砂浜…10~25%
  • アスファルト……10%
  • 水面……10~20%
  • 草地や土……10%以下

また、高い山では注意が必要です。一般的には、標高が100m高くなると紫外線は約10%強くなるとされています。

さらに、大気が非常に澄んでいる場所では、より紫外線が強くなることがあります。春先の気温がそれほど高くはない紫外線の強いときも気を付けましょう。

曇った日でも紫外線は降り注いでいる

太陽が届いていないように見える曇りの日でも日焼けします。

天気のいい日に比べますと、うす曇りの場合は約80~90%、曇りの場合は約60%、雨の場合は約30%の量に。思った以上に紫外線が降り注いでいることを認識しておきましょう。

天気別紫外線の量(晴天時と比べて)
  • うす曇りの場合……約80~90%
  • 曇りの場合……約60%
  • 雨の場合……約30%

雲の間から太陽が出ている場合は、雲からの散乱光が加わるため、快晴の時よりも多い紫外線が観測されることがあるようです。

水の中にも紫外線は届く

水はわずかな紫外線しか防いでくれません。水深50cmで地表の40%の紫外線が届きます。また、水面の反射は紫外線暴露量を増やすといえます。

夏の海やプールでは体が冷えやすいので感じにくいのですが、相当な紫外線を浴びていることとなります。こまめにしっかりと紫外線対策することが大切です。

暑くなくても紫外線は届く

日焼けは、私たちが感じることのできない紫外線によるものです。暑さを感じるのは赤外線によるもので、紫外線とは異なります。

暑さを感じる感じないにかかわらず、太陽の光を浴びれば紫外線の影響を受けています。

紫外線による日焼けの種類

紫外線による日焼けの種類

日焼けの種類は大きく分けて2つあり、サンバーンとサンターンです。日焼けをするならサンターンで、避けるべき日焼けは赤い日焼けのサンバーンです。そのためにも日頃から弱い紫外線を浴びて肌を慣らしておくことがポイント。

人間の皮膚の色は様々で、メラニン色素が多いほど肌の色は黒くなり、紫外線に強いといえます。一般的に肌の色が白い人はサンバーンが起こりやすく、逆に肌の色が黒い人はサンターンが起こります。

サンバーン

UV-Bによって肌が一気に日焼けし、肌が赤くなるのが特徴です。海や山などのレジャー時に起こる日焼けで、肌が痛くなったり、かゆみが出たり、また水ぶくれとなり肌が剥けたりするため、その後も肌にしみや跡が残りやすくなります。

サンターン

日焼けをしても肌に赤みや痛みなどの炎症が見られないのがサンターンです。ただ色が濃くなっただけの日焼けです。これは色素細胞とそれが合成したメラノソーム、さらにメラノソームが放出されたメラニン色素がしっかりと防衛機能をはたしている証拠です。

日焼け止めは2つの紫外線防御指標を確認して選ぶ

紫外線の種類について把握したところで、スキンケアアイテムの紫外線防止の指標となる「SPF」の「PA」についても把握しておきましょう。

PAはUV-Aの防止効果の程度を示す目安

「PA」はUV-Aの防止効果の程度を示す目安で、SPF「+」を使って次の4つに分類されます。

  • PA+(UV-A防止効果がある)
  • PA++(UV-A防止効果がかなりある)
  • PA+++(UV-A防止効果が非常にある)
  • PA++++(UV-Aに極めて高い効果がある)

以前は「PA+++」までの3つでしたが、現在では「PA++++」まで表示できるようになりました。これは様々な研究でUV-Aの有害性が明らかになり、UV-Aをより確実に防ぎたいというニーズが高まったかです。

SPFは、紫外線防御効果の意味

SPFは、紫外線防御効果の意味です。サンバーン(肌が赤くなる日やけ)の原因になるUV-Bを防ぐ指標として使われます。

この数値は、太陽光中のUV-Bによって皮膚に紅斑ができるまでの時間を何倍にのばせるかを示したものです。何も塗らない場合に比べて、UV-Bによる炎症をどれぐらい長い時間防止できるかを表しており、数値が大きい方がUV-Bに対する防御効果が高いことを意味します。

たとえば、SPF30という場合は、何もつけていない状態と比較して、日焼けするまでの時間を30倍遅らせることができるということです。

タイトルとURLをコピーしました